WiCAN 千葉アートネットワーク・プロジェクト

2013年度のプロジェクト

 2010年度から始まった「アートからはじまる学校プロジェクト」も3年目となりました。今年度も教育に焦点を当てた「アート×教育=?」プロジェクトを中心に、様々な活動を展開します。


「アート×教育=?」プロジェクト


 WiCANは、千葉大学にとっては大学生に、千葉市美術館にとっては市民に、「アートを通した学び」の機会を提供する教育的プロジェクトですが、2010年度からは教育そのものをテーマとし、アートの視点から教育について考え、実践してきました。
 過去3年間は、学校や教育の現状についてのリサーチや、学校空間や公共空間への提案、鑑賞教育の本質を問う実践などを取り組んできました。今年度はWiCANの原点でもある、アーティストとの「協働」に立ち返り、共に作品を制作し、それを世に問うというスタイルで、現代における教育の課題についての一視点を提供できたらと考えています。
 教育は社会で生きるすべての人にとって関わりのあるテーマでありながら、制度的に構築されているがゆえに、本質的な部分が問われ、広く議論されることがあまりありません。教科としての図工・美術、美術館の教育活動に関しても同様です。「なぜ美術を学ぶの?」という問いに対して、きれいごとの回答は聞けても、心の底から納得できる説明を聞けたことがあったでしょうか?
 今年度のプロジェクト「アート×教育=?」では、現代美術家の岡田裕子さん、山本高之さんの協力を得て、現代の日本の教育が含んでいる曖昧さや矛盾、あるいは、視点を変えれば、ある種暴力的とも言えるような性質を可視化し、教育の抱える課題をあぶり出すような作品を生み出すことを目指します。ユーモアや毒、アートの持つ感性的に働きかける力で、教育についての新しい何らかの視点を提供することができるようなものにしたいと考えています。
 また本プロジェクトでは、作品のもつ影響力についても考えていきます。単にアーティストの作品を学生が手伝い、展示し、鑑賞者が見るという構造に留まらず、作品制作に関わる学生や市民(小学生や中学生など)、さらにはアーティスト自身も、このプロジェクトを通じて、教育についての意識を変化させていくという構造を持ったプロジェクトとすることを目指します。そして発表された作品を見る鑑賞者にも、同様の変化の機会をもたらせたらと考えます。

岡田 裕子 / Okada Hiroko
1970年東京都生まれ。多摩美術大学絵画科油画卒業。多摩美術大学研究生修了。ACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル)の助成により国際交流派遣員の経験を経て制作を続けている。代表作に「俺の産んだ子」「愛憎弁当」「翳りゆく部屋」など。オルタナティブ人形劇団「劇団☆死期」主宰。

山本 高之 / Yamamoto Takayuki
1974年愛知県生まれ。チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインMA修了。子どもが交わす会話や彼らの遊びに潜む創造的な感性を通じて、人間を育む社会の制度や慣習などの特殊性をシニカルに描き出すプロジェクトで知られる。主な参加展覧会に、「笑い展 現代アートに見る『おかしみ』の事情」(森美術館, 東京)、「あいちトリエンナーレ2010」(愛知)、「アジアの亡霊」(サンフランシスコアジア美術館)、「Your Voice Is Mine」(NUS Museum,シンガポール)など。


鑑賞プロジェクト

昨年度に引き続き、千葉市内の公立小学校と千葉市美術館と千葉大学の三者が連携して行う美術作品の鑑賞プログラムの作成、実施に取り組みます。


展示をつくるプロジェクト

千葉市民ギャラリー・いなげと共同で、千葉市出身の写真家 白井綾さんとのプロジェクトを実施します。


カフェkaiki

今年も千葉市民ギャラリー・いなげで、期間限定のカフェをオープンします。夏季は8月9日〜11日の3日間に開催しました。


リサーチ

石川県や金沢美術工芸大学と連携し、8月に「能登再生リサーチ」プロジェクトに参加します。WiCANは石川県珠洲市にて、アートの視点で地域の魅力を発見し、その可能性を提言する試みに取り組みます。

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