2013年6月27日木曜日

「アート×教育=?」プロジェクト 第一弾 山本高之

「アート×教育=?」プロジェクト 第一弾 山本高之

《Facing the Unknown: Dark Energy》

6-29(sat) - 7/14(sun)  10:00 - 18:00

千葉市美術館1階プロジェクトルームにて



「アート×教育=?」プロジェクト


 WiCANは、社会におけるアートの意味について実践的に探求してきました。2010年度からは教育や学校をテーマとし、アートの視点から教育について考え、提案を実践してきました。
 今年度のプロジェクト「アート×教育=?」では、現代美術家の岡田裕子さん、山本高之さんの協力を得て、現代の日本の教育が含んでいるあいまいさや矛盾を可視化し、教育の抱える課題をあぶりだすような取り組み行いたいと考えています。
 今回の展示は、WiCAN2013で共に活動するアーティストを紹介するために行うものです。その第一弾として、山本高之さんが昨年度より千葉市内の学校の協力を得て取り組んできた作品《Facing the Unknown : Dark Energy》をご覧いただきます。


《Facing the Unknown : Dark Energy》


「みんなはどこにいるんだ?」

   エンリコ=フェルミ

「こわがるこたあないんだぜ。痛くもなんともねえんだからよ。」

    はてしない物語・ミヒャエル=エンデ著/上田真而子・佐藤真理子訳



 本展示では、WiCAN2013で共に活動する現代美術家の山本高之さんの《Facing the Unknown: Dark Energy》を紹介しています。20132月に千葉市内の中学校で行われたワークショップをもとにして制作されたこの作品には、三つの段階が構造として組み込まれています。


1)段ボールの内部に個人の世界を表現する
生徒たちは、一人に一つ与えられた大きな段ボール箱の内側に、それぞれの好きな個人的世界を表現します。その結果、それぞれ異なる内面をもった、18の「個」のスペースが生まれます。

2)段ボール同士がつながれ、うごめく
生徒たちは、この段ボールに小さな覗き穴を空け、その中に入って3分間自由に動き回ります。次に、二つの段ボールがテープでつながれて3分間、その次には四つがつながれ、さらには九つがというように、回を重ねるごとにテープでつなぎ合わされた塊は大きくなり、最後は一つにまとめられてしまいます。誰かが明確な指示を出しているわけではなく、力を行使する存在が見えないまま、塊は不気味にうごめき続けます。

3)体験を振り返る
後日二度にわたり、一部の生徒に「そのとき体験したこと」について振り返ってもらいました。二つのモニターでは、その様子が映し出されています。


 生徒たちがこのワークショップを通して体験したものは何だったのでしょう。それは、かつて体験したことのない、「未知の身体感覚」だったのかもしれません。段ボールの暗闇の中で、彼女たちが何を考え、どのようにコミュニケーションを図ったのか、直接体験していない私たちは、彼女たちの言葉から、その感覚を推測するほかありません。
 また、段ボールのうごめく様子を距離を置いて眺めるならば、個が「他者」と出会い、より大きな「集団」(=「社会」)を形成して、ある運動体となっていく状況と見立てることもできるかもしれません。他者と強制的につながれる中で彼女たちが感じたのは、果たして「安心感」だったのでしょうか、それとも「不自由さ」や「気持ち悪さ」に近いものだったのでしょうか。



山本 高之 / Yamamoto Takayuki
1974年愛知県生まれ。チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインMA修了。子どもが交わす会話や彼らの遊びに潜む創造的な感性を通じて、人間を育む社会の制度や慣習などの特殊性をシニカルに描き出すプロジェクトで知られる。主な参加展覧会に、「笑い展 現代アートに見る『おかしみ』の事情」(森美術館, 東京)、「あいちトリエンナーレ2010」(愛知)、「アジアの亡霊」(サンフランシスコアジア美術館)、「Your Voice Is Mine」(NUS Museum,シンガポール)など。

takayukiyamamoto.com/




会場へのアクセス

千葉市美術館
千葉市中央区中央 3-10-8

・JR千葉駅東口より徒歩15分
・千葉都市モノレール「葭川公園駅」下車徒歩5分
・京成バス大学病院行または南矢作行「中央3丁目」下車徒歩2分
・京成千葉中央駅東口より徒歩約10分

アクセスについて詳しくはこちらから

2013年6月10日月曜日

粟津裕介さんワークショップ


6月9日に、舞台音楽家の粟津裕介さんを講師としてお招きし、WiCAN学生メンバーがワークショップを受講しました。


右端が粟津裕介さんです。
locolo code というバンドのメンバーである森下愛さん、西村亮麿と一緒に来てくださいました。

今回は、みんなで「言葉」と「楽器」を持ち寄って、それらを素材に新しい曲をつくっていきました。

まずは、それぞれが持ってきた言葉と楽器を発表していきます。

ちょっとリズムやイントネーションの面白い言葉を探してくるというお題のもと、
「とっぷまーと寄ってこうよ」
「マリリン・マンソン」
「高津区、高津区、高津区・・・」
「あきさみよ~(琉球方言で“あらびっくり”の意)」
といった言葉が集まりました。

楽器は、クラリネットやカスタネットなど、それぞれの得意な(?)楽器から、ガラス瓶にビー玉を入れた打楽器などがありました。


次に、集まった言葉を、似たリズムのもので分類していきます。
四拍子、三拍子、三連符が抽出されたり、「タンタンタタッタタ」というようなリズムをもつ言葉の括りができていきます。

一通り分類がされたところで、打楽器・鍵盤楽器・管楽器の3つのチームに分かれ、それぞれで言葉を組み合わせながら、短い曲をつくりました。


打楽器チームは、リズムの特徴的だった言葉を中心に選びながら、3種類のフレーズをつくりました。


鍵盤楽器チームは、二つのイントネーションを持つ言葉を使って合奏をしました。
黒鍵をつかったりしながら、ちょっと不思議なメロディーも出します。


吹奏楽器チーム。
「飴ちゃんいるー?」「やっぱやーめっぴ」といった掛け合いを織り交ぜながら曲をつくっていました。


3つのチームから曲が出そろったところで、1つの曲に仕上げていきます。
上の写真は今回の楽譜です。


そしてみんなで演奏!


ワークショップを終えた学生からは、
「普段の生活では、音楽は消費するものだったけれど、自分たちでもつくれることを知った。これは、音楽だけに限られたことではなく、身の回りの様々なものにあてはまると思う。」
「いつも何気なくつかっている言葉にも、リズムやメロディがあることが面白かった。」
「今回あつまった人だからこそできる、特別な曲ができたのが嬉しかった。」
といった感想が聞かれました。

芝の家 見学

6月8日、地域のサードプレースの事例見学として、都港区にある「芝の家」に行き、プロジェクトファシリテーターの板倉杏介さんにお話を伺いました。



芝の家は、港区の「昭和の地域力再発見事業」の一環として、区と慶応大学による協働で運営されている空間です。

都市化のなかで地域の人たち同士のネットワークが薄れつつあるいま、かつての地域のありかたを再考しながら、新しいコミュニティづくりを目指しています。

現在の芝の家には、小学生が遊びに来たり、中学生が愚痴を言いにきたり、買い物ついでのお年寄りが立ち寄ったりします。
また、スタッフとして、近隣の人たちや、大学生などが滞在しています。
彼らにとっては、家や職場・学校とは違う、第三の居場所として機能しています。

芝の家では、来る人による、ちょっとしたイベントもよく行われています。
イベントといっても、誰かがちょっと思いついて始めたゆるやかなものが多く、手書きの簡単なポスターで、楽器の演奏会のお知らせが貼ってあったりしました。
気軽に色々なことをトライできる場所であることで、毎日がより楽しいものになるかもしれません。

スタッフの人にとっても、居場所として機能するように、様々な工夫がされています。
例えば、一日の始めには、スタッフ同士がお互いの今日の気分を伝え合ったり、一日の最後には、その日気に掛かったことを話し合ったりすることになっています。
こうすることで、必要以上にお互いを気遣ったり、自分の中にもやもやを抱え込んだりすることが減り、あまりストレスを抱えずにスタッフとしての一日を過ごせるそうです。

このように、立ち寄る人や、スタッフを含めた全ての利用者にとって居心地の良い場所として成立するように、坂倉さんが訪れる人々の様子を見ながら、工夫を重ねながら運営されてきました。


人々の居場所をゆるやかに追求している芝の家。
そこでは、訪れる人々の多様性が認められることや、多様な人が共存できていることの重要性や難しさを感じることができました。
WiCANの活動内容は芝の家のそれと異なるものではありますが、WiCANで活動していくときにも大切にしたいと思えることがたくさんありました。

>>芝の家ウェブサイト


(para)

2013年6月2日日曜日

谷中見学会

新しくメンバーが増えて1ヶ月あまり。
6月1日に、町の中のアートのありかたを見学するために、東京都台東区の谷中へ行きました。


まずは、HAGISO(萩荘)へ行き、代表の宮崎晃吉さんにお話を伺いました。



HAGISOは、宗林寺というお寺の横にある建物で、もともとは寺男が住んでいたところです。
2011年に老朽化で取り壊されることになり、「ハギエンナーレ」という芸術祭を開催。
ところがこのハギエンナーレには想像外にたくさんのお客さんがやってきたため、萩荘の建築的な価値が見直されるきっかけとなりました。
大家さんも宮崎さんの提案を受けて、建物を「最少文化複合施設」として残すことにしました。
現在はカフェやギャラリー、事務所などがあります。
地域の方がお茶をしたり、アーティストの展示やパフォーマンスが行われたりと、様々な用途に利用されています。

>>HAGISOウェブサイト


HAGISOのあとは、椎原伸博さん・晶子さんにご案内いただき、谷中の町歩きをしました。
ご夫婦は地元にお住まいで、晶子さんは「たいとう歴史都市研究会」の副理事長でもあります。
町の様々な出来事を伺いながら、地域の興味深い場所を回りました。


区の文化財に指定されている古い建物も、ギャラリーとして活用されています。

ヒマラヤ杉のある三ツ辻です。
「みかどパン」という懐かしい雰囲気のパン屋の脇に、大木に成長したヒマラヤ杉があります。
この一角は再開発予定ではあるものの、いまやランドマークとなっている杉の木を残そうという住民運動が起こっているそうです。  

>>たいとう歴史都市研究会ウェブサイト


お昼ごはんはカヤバ珈琲でいただきました。




カヤバ珈琲も、戦前の創業の古い喫茶店です。
一度は閉店したものの、たいとう歴史都市研究会と、後述のSCAI THE BATHHOUSEが協力して建物を借り受け、2009年に新装開店しました。

>>カヤバ珈琲ウェブサイト


午後には、カヤバ珈琲のすぐ近くにあるギャラリー「SCAI THE BOTHHOUSE」へ行き、スタッフの梅村さんにお話を伺いました。


SCAIは銭湯を改装したギャラリーで、入り口は昔ながらの銭湯のままですし、中も天井がとても高いのが特徴的でした。
もともとある建築を改装したアートスペースとしては、かなり早い事例なのだそうです。
お客さんは地元の人よりも、ミシュランガイドにも載っていて外国の人が多いと仰っていました。

>>SCAI THE BOTHHOUSE1ウェブサイト



SCAIの後は、4人程度のグループにわかれ、 谷中を散歩しました。

谷中銀座を通ったり、

路地裏で面白いお店を見かけたり、

なんだかとても賑わっている公園の前を通ったり。

最後に東京芸大に集まり、日暮里駅まで歩いて解散。
アートスペースを中心に、谷中の魅力を堪能しました。


(para)